幸福とは、
「貢献感」である!

『嫌われる勇気』はフロイトやユングと並び評される、アルフレッド・アドラーの心理学(哲学・思想)をまとめた自己啓発本です。

- 自分のことが嫌い
- 自信が持てず、人生が楽しくない
- 人と比較して、劣等感でくるしい
- 何をするにも、他人の目を気にしてしまう
と悩む、すべての人が読むべき1冊となっています。

本記事では、
を紹介していきます。
本記事を読むだけでも、劣等感や人の目から解放されて生きやすい人生になるヒントを得られるはずです!
ポイント
アマゾンオーディブルなら、『嫌われる勇気』を1冊無料で、いますぐ聴き放題ですよ!
目次
『嫌われる勇気』の概要紹介
『嫌われる勇気』は、2013年に出版された「自己啓発本」です。
ギリシャ哲学とアドラー心理学の研究者である岸見一郎氏が原案を、ライターの古賀史健氏が執筆を担当しました。
世界で500万部も売れた大ベストセラーで、今でも書店で平積みされるロングセラーでもあります。
アドラー心理学とは
アドラー心理学とは、オーストリア出身の精神科医アルフレッド・アドラー(1870ー1937)が創設した心理学です。

アドラーが精神科医として、市民や軍人を治療していくなかで、「人は何に苦しむのか」「どうすれば幸福に生きられるのか」を研究しまとめた思想です。
『嫌われる勇気』の構成
そんなアドラー心理学をもとに、生きずらいと感じるすべての現代人に解説策を示したのが『嫌われる勇気』です。
哲人と青年の対話形式で進み、次のような構成となっています。
『嫌われる勇気』の構成
- トラウマを否定せよ
- すべての悩みは対人関係である
- 他者の課題を切り捨てる
- 世界の中心はどこにあるのか
- 「いま、ここ」を真剣に生きる

『嫌われる勇気』の要約
では要約として、『嫌われる勇気』の内容を見ていきましょう。
①人はいつからでも変われる
世界はどこまでもシンプルである。
本書は、そんな言葉から始まります。
世界は、どこまでもシンプルである。
しかし世界が複雑に見えるなら、それは「あなた」が世界を複雑なものととらえているのです。
あなたが変われば世界も変わる、そして人はいつからでも変われる。

②「原因」ではなく、「目的」に着目せよ!
僕たちは、いろんなことに「過去の原因」を探ります。
例えば、
- 子どもが引きこもりになったのは、学校でいじめがあったから
- 相手が反抗してきたから、つい怒ってしまった
など。
しかしアドラー心理学では「過去の原因」を否定し、今の「目的」に着目する立場をとっています。
そのことを「目的論」と言います。
「目的論」では、トラウマは存在しない
「目的論」の立場をとると、トラウマは存在しません。
例えば「両親の虐待」があって、大人になり引きこもってしまった人がいるとしましょう。
しかし目的論では、その人が引きこもったのは今の目的にあることになります。
例えば「外に出たくない」「引きこもっていた方がみんなが心配してくれる」または「行動しないことで未来の可能性を残しておく」といった感じに。
つまり引きこもりは、過去のトラウマではなく、今の目的に適った手段なのです。
アドラー心理学が「目的論」をとる理由
アドラー心理学が「目的論」の立場をとるのは、過去は変えられないからです。
いくら過去に原因があっても、過去は変えられません。
でも、今から将来にかけての目的なら変えられる。

それは「変われない」のではなく、あなたが「変わらない」と決心しているのです。
自分のことが嫌いな理由
「自分のことが嫌い」である理由も、「目的論」で説明できます。
自分のことが嫌いなのは、自分を嫌っていれば、いろいろな言い訳に使えるからです。
- 頭が悪いから、いい大学に入れない
- ブサイクだから、恋人ができない
- 臆病だから、いろんな挑戦ができない
あげれば、きりがありません。
つまり自分を嫌いでいる方が、楽で都合がいいから嫌っているのです。
③すべての悩みは「対人関係の悩み」である
悩みを「目的論」で考えると、すべての悩みに「人の影」があるとわかります。
頭が悪いと感じるのも、仕事ができないと悩むのも、異性にモテないと嘆くのも、すべて対人関係のなかで生まれる悩みです。

そういう意味で、アドラー心理学ではすべての悩みは「対人関係の悩み」であるとしています。
劣等感は悪いことではない
自分の力が及ばないと思うと、人は劣等感を感じます。
しかしそれは、悪いことではありません。
なぜなら、劣等感をバネに努力できるからです。

劣等感を言い訳にしてはいけない
ただし劣等感を、言い訳に使ってはいけません。

このことを「劣等コンプレックス」と言います。
それではいつまでたっても、現状は変わりません。
劣等感に耐えられなくなると優越感にひたる
しかし本書では、人はいつまでも劣等感に耐えられないとしています。
そこで劣等感を逆手にとって、次のように優越感にひたろうとします。
- 不幸自慢をする
- ブランド品で身を固める
- 自分は個性的であることをアピールする
- 有名人と知り合いであることを自慢する
- 過去の栄光や自分の手柄をずっと話し続ける
このことを「優越コンプレックス」と言います。
人生は競争ではない
劣等コンプレックスや優越コンプレックスに悩んでいる人が、理解しなければならないのが、「人生は競争ではない」ということです。
「人生を競争」だととらえると、常に何かで誰かと競い合わなければならず、他者を敵とみなしてしまいます。
「人の幸せ=自分の負け」というように。
そこで本書では、「われわれは同じでないけれど対応」だとしています。

④承認欲求を否定せよ!
『嫌われる勇気』では、
健全な劣等感は、「理想の自分」との比較から生まれるもの
としています。
一方で「他者」との比較から生まれた劣等感は、「承認欲求」を満たすことでしか解消されません。
しかしアドラー心理学では、「承認欲求」を否定します。
他者の期待を満たすために生きてはいけない
「承認欲求」を満たすには、誰かの期待を満たさなければなりません。
しかしそれでは、他人の期待のために生きることになってしまいます。

その人たちから承認されることに、何の意味があるのでしょうか?
承認欲求は不自由を強いる
他人の期待に応えて、承認欲求を満たす人生は実は楽になります。
なぜなら自分の人生の責任を、他人のせいにできるからです。

でも他人の期待に応える人生に、自由はありません。
常に人の顔色をうかがって、他者を見て生きていかなければならないのです。
本当の自由とは嫌われること
自由とは、他人の期待に応えるのではなく、自分の信じる人生を歩むこと。
本書には、次のようにあります。
本当の自由とは、他者に嫌われること
つまり嫌われてもいいと割り切って、自分の道を突き進むこと。
すなわち「嫌われる勇気」を持つことなんです。

⑤「課題の分離」をする
承認欲求にとらわれないために必要なのが、「課題の分離」です。
「課題の分離」とは、自分と他者の課題を分けることです。
例えば、
- 勉強しないのは、子どもの課題であって親の課題ではない
- 世間体を気にするのは親の課題であって、子どもの課題ではない
- 仕事で成果を出すのは本人の課題であって、上司の課題ではない
- 成果や人間性を評価するのは他人であって、自分の課題ではない
などです。

【小休止】ここまでのまとめ

ここまでのまとめ
- 人は対人関係で傷つきたくないから(目的)、悩みを作り出す
- 悩みを克服するには承認欲求を捨て(嫌われる勇気)、自分の信じる人生を歩むしかない
- そのためにまず自分と他者の「課題を分離」する
ここを理解できれば、十分ですよ。
ただし『嫌われる勇気』では、
「課題の分離」は対人関係の悩みをなくすための
ゴールではなく、スタート地点
だと言います。
では次からいよいよ、すべての悩みを解決するゴールに向かうための道筋を示していきます。
⑥対人関係のゴールは「共同体感覚」
『嫌われる勇気』では、対人関係の悩みをなくすゴールは「共同体感覚」にあるとします。
「共同体感覚」とは、他者を仲間だと見なして、
そこに「自分の居場所がある」と感じられること
「共同体感覚」を得ることで、他者との競争からおりて、自分の信じる人生を追求できるのです。

⑦「共同体感覚」を得るまでの道のり
『嫌われる勇気』で示されている、「共同体感覚」を得るまでの道のりは、次のようになっています。
共同体感覚までの道のり
- 「課題の分離」(スタート地点)
- 「横の関係」
- 「自己への執着」から「他者への関心」へ(自己受容・他者信頼・他者貢献)
- 「共同体感覚」(対人関係のゴール)

⑧「横の関係」を築け!
共同体感覚までの道のり
- 「課題の分離」(スタート地点)
- 「横の関係」 ←いま、ここ
- 「自己への執着」から「他者への関心」へ(自己受容・他者信頼・他者貢献)
- 「共同体感覚」(対人関係のゴール)
「横の関係」とはつまり、「対等である」ことです。

だから、「ほめられたい」「叱られたくない」という承認欲求が生まれてくるのです。
縦の関係があるからこそ、劣等感が生まれます。
ほめても叱ってもいけない
『嫌われる勇気』では「横の関係」を築くには、「ほめても叱ってもいけない」としています。
なぜなら、ほめるも叱るも、相手を下に見ているからできるためです。
親が子どもをほめる、上司が部下を叱るなど、上下関係があるからこそ、生まれる行為です。
「横の関係」を築く方法
そこで「横の関係」を築くには、「感謝」することです。
何かをしてくれたら、ほめるのではなく「ありがとう」と伝える。
もしくは、「うれしい」という素直な気持ちを伝える。

そのときはじめて、他者と「横の関係」を築けるのです。
⑨「自己への執着」から「他者への関心」へ
共同体感覚までの道のり
- 「課題の分離」(スタート地点)
- 「横の関係」
- 「自己への執着」から「他者への関心」へ(自己受容・他者信頼・他者貢献)←いま、ここ
- 「共同体感覚」(対人関係のゴール)
そしてもう1つ対人関係で悩む理由が、自分のことしか気にしていないからです。
人の目や評価を気にするのは、人を気にかけているようで、実は自分のことしか考えていない「自己中心的」な姿勢です。
「嫌われたらどうしよう」と考えるのは、まさに自分のことしか考えていません。

そのために必要なのが次の3つの要素です。
他者への関心にシフトするための要素
- 自己受容
- 他者信頼
- 他者貢献
⑴ 自己受容
自己受容とは、ありのままの自分を受け入れることです。
例えばテストで60点の自分でも受け入れて、さらに向上するにはどうすればいいかを考える姿勢のことです。
自分を受け入れれば、過剰な自意識をコントロールできるようになるでしょう。

⑵ 他者信頼
他者信頼とは、他者を無条件に信じることです。
ありのままの相手を、そのまま何の条件もなしに信頼します。


それでも信じるかどうかは、自分の課題になります。
また信頼の反対は、「懐疑」です。
例えばパートナーの浮気を疑えば、メールや言動、態度などからいくらでも疑えるでしょう。
疑っていは、いつまでたっても人と対等で深い関係は築けないのです。
⑶ 他者貢献
他者貢献とは、仲間に貢献することです。
自己受容と他者信頼ができれば、もはやあなたの世界には仲間しかいません。
その仲間に自分なりに貢献することで、自分の価値を実感でき、居場所を見つけられるのです。

例えば母親が病気で死にかけているときに、家事をしないことを責めますか?
きっと生きていることだけに感謝して、そのありがたみを噛みしめるはずです。
人は、仕事や家事その他の行為の前に、他者貢献しているのです。
対人関係のゴール「共同体感覚」
こうしてようやく、対人関係のゴールである「共同体感覚」にたどり着けます。
共同体感覚までの道のり
- 「課題の分離」(スタート地点)
- 「横の関係」
- 「自己への執着」から「他者への関心」へ(自己受容・他者信頼・他者貢献)
- 「共同体感覚」(対人関係のゴール)
実現するのは、難しいでしょう。
しかし、挑戦し改善していくことに価値があるのです。
⑩「普通であることの勇気」
ただここまできて、なかには

- 社会的・経済的に成功したい
- 後世に残るような偉業を成し遂げたい
などと「特別」であることに執着してしまう方もいるかもしれません。
でも本書では、「普通であることの勇気」を説いています。
- 本当に特別である必要があるのか
- そもそも、すべての人が普通なのではないか
- 普通とは別に、劣っていることではないのではないか
わざわざ自分が優れていることを、世間に知らしめる必要がどこにあるのでしょうか?
幸せに自分が普通であることを受け入れる勇気を、持つ必要があります。
⑪「いま、ここ」を生きる
おそらく特別でありたい人は、高い目標をかかげていて、それを達成するのが人生だと勘違いしているのでしょう。

なぜなら、人生にはいま、この瞬間しかないからです。
いまこの瞬間を充実させることが、人生のすべてだからです。
「仮の人生」を生きるな!
多くの人は、「お金持ちになりたい」とか「もっと出世したい」と言い、その達成しか見えていません。
山に例えるなら、山頂に到達することしか価値がないとする姿勢です。

そしてその過程にこそ、人生の価値があります。
目標という架空の世界に意味を見出す「仮の人生」を生きてはいけません。
「いま、ここ」を真剣に丁寧に生きる
だからこそ、「目標を達成しない人生に意味がない」などと考えず、いま、この瞬間を真剣に丁寧に生きていくのです。
例えばイチローは、4000本のヒットを打とうとしたわけではありません。
いま、ここにある日常、練習、試合、打席を真剣に丁寧に生きたからこそ、いつの間にか4000本が見え、偉業を達成したのです。

いま、この瞬間をいかに充実させるかだけです。
⑫人生に意味を与えよ!
アドラー心理学では、「一般的な人生の意味はない」としています。
一方で、人生に意味を与えるのは、自分自身であると語っているのです。
そして自由で幸福な人生を選びたいなら、「他者貢献」こそがあなたを導いてくれるとされています。

ただ「いま、ここ」を生きて他者貢献をする。
幸福とは、「貢献感」である
人は誰になんと言われようと、「自分が」他者に貢献できていると感じたとき、はじめて幸せになれるのです。
『嫌われる勇気』の書評
- トラウマの否定
- 承認欲求の否定
- すべての悩みは対人関係の悩みである
など、一見、常識と反する主張であるように見えて、納得せざるを得ない内容でした。
そして対人関係の悩みから自由になり、幸せに生きるための道しるべが、明確に示されています。
共同体感覚までの道のり
- 「課題の分離」(スタート地点)
- 「横の関係」
- 「自己への執着」から「他者への関心」へ(自己受容・他者信頼・他者貢献)
- 「共同体感覚」(対人関係のゴール)
本書では、共同体感覚に到達するには、今まで歩んできた人生の半分以上の時間は必要だとしています。
30歳なら、15年です。
ただ本書でもあるように、「いま、この瞬間」を真剣に丁寧に生きることにこそ価値があります。
ゴールすることではなく、その過程にこそ価値があるのですから。

まずは「課題の分離」からはじめよう
『嫌われる勇気』では、目的論から対人関係の悩みを明確にして、承認欲求をすて、他者貢献していく道しるべを説いています。
そのスタート地点が、「課題の分離」です。
まずは課題の分離を意識しながら、生活を送っていきましょう。
本記事は少し長かったですが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あわせて読みたい